蕎麦打ち奮戦記


■ 石臼の再生(2016年6月)



田舎の物置を修繕・整理した折に古い石臼が出てきました。
60年以上の昔、幼い頃、何の粉を挽いたのか、思い出せませんが木の枝を利用した挽木で反時計回りに挽いた記憶がかすかに残る祖母が愛用していた石臼です。

◆ 現状の姿

直径は28cm、上臼が18kg下臼が17kgあります。全体に黒っぽくすすけています。

 

試しに玄蕎麦を挽いてみました。
殻と粉が上臼と下臼の隙間から排出されますが上滑りをしているようで手応えが良くありません。

手探りですが石臼の再生に挑戦してみました。



◆ 先ずは道具の調達

手持ちのないグラインダーとミニルーター、ハツリハンマーは新規購入です。




◆ 各部の名称



◆ 上臼の調整

下臼と同じく上臼も真っ平らな面をしており、「ふくみ」がありません。
「ふくみ」を付ける部分に赤マジックインクで印をつけ、大方の当たりをハツリハンタマーではつり、グラインダーで調整。4mmの「ふくみ」を付けました。

 

粉を挽く部分は外周部の5cm程です。その部分の摺り合わせを調整するのにサンドペーパーを利用しました。


◆ 主溝、副溝の切り込み

「ふくみ」を付けた上臼に6本の主溝と主溝で区画された扇形の部分に3本の副溝をグラインダーに取り付けたダイヤモンドカッターで切り込み、下臼は浅くなった溝の調整程度に切り込みを入れました。

 


◆ 外周部の目立て

外周部の摺り合わせ部分に細目の溝をミニルーターのダイヤモンドカッターで無数に切り込みを入れました。


◆ 粉受け箱

石臼で挽いた粉を効率よく受け取る箱です。
下箱と上箱で構成してます。下箱に取り付けた漏斗形状の装置で粉を集め、その下に置いたボールに溜めます。粉の滑りをよくするために漆塗りとしてます。
上箱は石臼を乗せ、粉が下箱に落ちる構造です。

 


◆ その他

元々の軸は木製で上端を丸くし、上臼の軸受け穴より小さめとし、上臼は中心を大きく外しながら回転するようになっており、軸も一緒に上臼で少しずつ削れてしまいます。

今回は軸と軸受けに給水管などで使用している塩ビパイプを利用してみました。ハンマードリルで石臼の軸穴調整と「ものいれ」の穴開け調整をしました。

グラインダーに取り付けたワイヤーブラシで石臼の全体を磨くと青みを帯びた石の色が出てきました。

一通りの作業を終え、試し挽きです。
粉の排出がスムースでないようです。上臼の状態も玄蕎麦の殻が溝に挟まったままの箇所があります。
ミニルーターで溝の幅を広め、上臼の溝と下臼の溝が鋏のように交差する溝の右側の角度を鋭角に、反対側は緩い角度に調整しました。

以前よりは良い状況になりましたがこれから先、何度も微調整が必要になりそうです。
本格的に蕎麦を挽くのは今年の新蕎麦が出回ってからになりますので今回の作業はここまでとします。


◆ 祖谷の粉挽き唄

徳島県三好郡西祖谷村の民謡。
祖谷地方は傾斜の急な山ばかりの美しいところです。かつては栗、稗、とうもろこし、蕎麦などを粉にして常食としてました。
その粉挽き作業は主に、嫁の夜なべ仕事でした。この「祖谷の粉挽き唄」を唄いながら昼間の疲れからくる睡魔に耐えたのでしょう。
落人伝説を伝えるゆったりとした美しい旋律の唄で蕎麦を挽くのに丁度良いテンポです。


 祖谷の粉挽き唄 ♪←クリックするとMediaPlayerで唄が聴けます。

♪祖谷のかずら橋ゃ 蜘蛛の巣〈ゆ〉の如く
  風も吹かんのに ゆらゆらと
 吹かんのに 吹かんのに 風も
  風も吹かんのに ゆらゆらと

♪祖谷のかずら橋ゃ ゆらゆら ゆれど
  主と手を引きゃ 怖くない
 手を引きゃ 手を引きゃ 主と
  主と手を引きゃ 怖くない

♪祖谷の源内さんは 稗の粉〈ひのこ?〉むせた
  お茶がなかったら むせ死ぬる
 なかったら なかったら お茶が
  お茶がなかったら むせ死ぬる

♪祖谷のかずら橋ゃ 様となら渡る
  落ちて死んでも もろともに
 死んでも 死んでも 落ちて
  落ちて死んでも もろともに

♪粉ひき婆さん お年はいくつ
  わたしゃひき木と うない歳
 ひき木と ひき木と わたしゃ
  わたしゃ ひき木と うない歳

up date 2016.07.05



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