蕎麦打ち奮戦記


■そば打ち四段位認定大会 (2012年10月7日いわき大会)


全麺協(全国麺類文化地域間交流推進協議会)の「素人そば打ち・三段位」の認定を得てから5年が経ってしまいました。
年に一度開催される四段位の技能審査は毎年10〜11月頃開催される「日本そば博覧会」の開催地で同時に実施されます。
その時期は私にとって忙しい季節であり日程の調整がつきません。

受験をためらうところもややありましたが気力や体力などを考えると今年が最後のチャンスと思い、最優先でエントリーすることにしました。

四段位の技能審査を受験するには2泊3日の「四段位認定講習会」(平成20年受講済み)を受講し、次に「書類審査」を受験して合格しなくてはなりません。

書類審査の今回の内容は1)活動状況 2)課題 3)小論文でした。参考までに課題の(1)は古来からそば打ちは「一鉢二延し三包丁」と云われてますがその意味について (2)「ソバはやせた土地でも育つ」と云われますが「ソバの栽培に適した自然条件」について(3)江戸時代随一の名著といわれる「蕎麦全書」について。小論文のテーマは「四段位認定者として取り組みたい地域振興について」でした。

素人そば打ち段位認定制度については全麺協のHPまたは「新・そば打ち教本」(柴田書店)で詳しく解説されています。

技能審査の会場は福島県いわき市小名浜公民館。
前日の10月6日(土)午後に現地入りし、会場の見学、前半の審査模様を観察し、受験対策の一環としました。
12名一組の単位で審査が行われますが会場の広さにゆとりがなく受験者(延し台セット)と観客席、関係者席との間隔も狭く、室内の換気状態も良くありません。審査規定のテーブルサイズですが道具類の置き場も広くありません。

宿泊先のチェックインを済ませホームセンターへ。
小物のトレーと台拭き、白いポロシャツを購入。作務衣を用意してきましたが会場の室内環境と観客の評判を参考に白いポロシャツで審査を受けることとしました。

当日の朝、指定の時間に会場へ、そこで受験番号と審査を受ける時間帯が分かります。私は3組目で午後からの審査です。

1組目と2組目の審査の様子を見学しましたが皆さん水回しでの加水率に戸惑っている様子でした。
事前に審査会で使用される「そば粉」は公表されますから練習用に取り寄せ、何度か打ってみました。そば粉は30目の篩をやっと通るような粗挽き粉です。細粉と違っていつもより注意深く打つ必要があります。いつものペースで注意深く打ちますが加水率が不適切で延しの段階で麺帯の縁に大きな亀裂が入り、本来の蕎麦の姿になりません。この時の加水率が47%、二回目の試し打ちは加水率50%で打ってみましたが今度は麺帯が柔らかすぎて打ち粉を多めに振る結果となり、やはり角の立った美しい蕎麦にはなりません。三回目の加水率が49%、何とか「そば」らしくなってきました。水回しの加減も捏ねの加減もいつもとは違います。
大急ぎで「そば粉」を追加注文し、この「そば粉」での打ち方と加水率を確定させました。
これまでの経験では同じような打ち方で、加水率の幅が1〜2%ほどありましたが今回のそば粉は加水率の幅も上下0.5%以内、しかも通常の水回しと捏ねでは上手くいきませんでした。

午後になり、昼食を済ませるといよいよ審査を受ける番が廻ってきました。
水回しも順調に進みきっちりと用意した49%の水はホンの少し残りました。これは取り寄せたそば粉より粒子が細いことが篩の段階で分かり、しっとり感も程よくなったところで水を止めました。捏ねも練習のように短めです。予定の時間より早く進んでます。

延しも心地よく進んでましたが本延しでは麺帯の縁に小さな亀裂があります。
亀裂が大きくならないように注意しながら少なめの打ち粉で進めました。結果的には試し打ちで得た加水率49%であれば亀裂もなくもっとスムースに進んだかもしれません。加水率は玄蕎麦の性質と製粉方法、更に打ち方、室内環境などが影響するようですがとても難しいものです。
今回は特にそれを感じ、再確認した次第です。

本延しを終え、麺帯の厚みを調べてみるとホンの少し厚いところがあります。そのまま進めてもかまいませんが念を入れて巻いた麺帯を再度広げ、厚さの修正をしました。

麦の打ち方はここ数年ほとんど変化はしてませんが「木鉢」「延し板」「切り板」の各行程で手に伝わる蕎麦の感触の違いが繊細に捉えられるようになった気がします。

さて、そば打ちは最後の行程「切り」に入ります。厚さが均一になっていれば切りの幅も均等に進んでいきます。切りは左右の手の動きと力の入れ具合をバランス良くすれば歪みなく駒板は進んでくれ、均等の幅に蕎麦は切れます。最後の一本まで気を緩めることなく包丁を進めることができました。

段位認定の要件にはいくつかのことが規定されていますが今回、受験対策として特に気を遣ったことは「そばの切り揃え率が95%以上であること」でした。
不揃いのそばと切りくずが5%以内です。1500gの粉に水がその49%入ります。それの5%は約112gです。それの半分が「そばの不揃い」になり、残りが切りくずとするとその量はぐい呑みの猪口に一杯程となります。普段そば打ちでの切りくずは蕎麦猪口一杯ほど出ますから要注意です。

途中の行程で時間の配分に少し手違いがあり、後片付けの時間がなくなり最後はぎりぎりでそば打ちを終了しました。

自己判定ではチェックポイントも心理的状況も良く、満足感もありましたから結果はどちらで良いと、、、、、、、でも「合格」の発表は嬉しいものです。

素人の楽しみとして、そばを打つのに四段位の認定を得る必要性があるのかないのか受験の前は揺れ動きましたが蕎麦と向き合う良い機会となりました。
腕前の進化とともに蕎麦と向き合う考え方やとらえ方が変化していきます。年齢が進むと幾つまで現状の姿を維持し、健康的にスマートに蕎麦が打てるか。

少しでも蕎麦を取り巻く環境作りを良くしたい。等々、今回の受験でも良い刺激を受けることが出来ました。
日頃より私のそば打ちに理解と協力、そして支援をしてくれる皆様に感謝です。



up date 2013.01.21



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