蕎麦打ち奮戦記



◆焼きアゴと鰹厚削り節



左の画像が焼きアゴで右が鰹の厚削り節です。
打つ蕎麦によってこの2種類を使い分け出汁を取ります。「かえし」は鍋に味醂を入れ加熱し、アルコール分を飛ばし細かな泡が出てきたら三温糖を加え、かき混ぜて透明感のある飴色になったところで醤油を入れる「本返し」と云われる方法で作ります。自然に冷ましてから容器に移し冷暗所で2週間以上寝かせ、必要なときに取り出し、出汁と合わせ蕎麦汁を作ります。

蕎麦汁が必要になったら2〜3日前から準備します。
鰹厚削り節で出汁を取る場合は必要量の水を入れた鍋に利尻昆布をつけ室温によって変えますが一晩又は数時間置きます。それを火にかけ沸騰する前に昆布を取り出し、厚削り節を入れ、鍋の中で対流させながら灰汁を取り、40分前後煮出します。それを布巾又はキッチンペーパーで濾し、その出汁と「かえし」の温度をどちらも80度前後に温めてから合わせると辛汁が出来ます。それを一昼夜おき湯煎すると醤油の角がまろやかとなり、鰹節の香りも上品になりその旨みを引き出した美味しい辛汁が完成します。湯煎に掛ける時間は長すぎると汁が辛くなったり香りと旨みが別なものに変化します。出汁の出方やかえしとの混合割合によっても変わるようですが此処では40分程の時間を掛けます。最初の水の量は煮出しと湯煎により4割弱となります。

焼きアゴで出汁を取る場合は火にかける一晩前又は数時間前に焼きアゴを水に着けます。火に掛けてから火を止めるまで煮出します。好みで昆布や干し椎茸も入れます。
焼きアゴを使った辛汁はもっぱら変わり蕎麦専用に作りますが焼きアゴのみの出汁がより蕎麦の美味さを引き立ててくれるようです。余談ですが出汁を取った後のアゴは柔らかく、そのまま又は塩、醤油をつけても美味しくいただけます。

厚削り節の煮出した節も佃煮等にすると美味しくなりますが二番出汁を取り、掛け蕎麦用の甘汁に使います。辛汁と甘汁は互いの辛さや量の調整をする場合に混ぜ合わせる場合もあります。甘汁は一番出汁を足すことでより美味しい汁になります。
「かえし」「出汁」共に同じ材料を使い続けていますが昆布を水に浸す時間や厚削りの煮出す時間、温度、湯煎に掛ける回数と時間などで全く別物のような汁が出来上がります。蕎麦との相性もあるようでやるほどに面白さが奥深くなります。・・・・つづく




焼きアゴは日本海沿岸部地方で秋の北風が吹く頃に回遊してくる飛び魚をアゴと称しそれを焼いて干したものです。
アゴは竹輪の材料にしたり、干物にすると秋から冬にかけて酒の肴に最高です。焼きアゴの出汁は上品な香りとうまみがあり煮物や麺類の汁として重宝され正月の雑煮の出汁として欠かせない一品です。

参考 篠崎海産物店



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