蕎麦打ち奮戦記



◆明覚寺「手打ち蕎麦会」
   (五島列島・小値賀島)
城南山 明覚寺

. 定期的に小値賀島へ通いだして今回で6回目、諸々の仕事の合間に打つ蕎麦も定着してきたようです。
今回はお寺さんで「手打ち蕎麦会」を開かせていただきました。
事業所や家庭でのそば打ちと違った厳かなところです。それに見合った準備が必要となります。
 そば打ち台は会議用のテーブルを利用すれば何とかなりそうですが釜場は大勢の来客に対応できる設えを考えなくてはなりません。
島で探すには時間がかかりそうな物は横浜で準備し、送ることにします。自宅に取り置いていた使い古しのシンク(地流し)を利用し、流し台を造ります。新規に首長の蛇口と接続用ホースそれに排水用ホース。それらをコンパクトに納める合板製の木箱を造りました。


島に着いてから流し台の製作です。合板(1650×550)の天板をくり抜き、シンクを脱着可能なように取り付け、蛇口を取り付けます。移動時はシンクと蛇口、ホースを取り外し木箱に納めます。流し台の側はガス台です。
大量の水と湯を使う釜場は屋内の場合、床や壁を汚すこともあり、気をつけなくてはなりませんが屋外に設置すればそれらも解決できます。


2010年10月22日
前日に打ち場の設置と流し台の仮設置をし、当日の朝、そば打ち道具一式と釜場廻りの用品、食器類等を搬入。先ずは釜場廻りの調整です。上水道の蛇口から流し台の蛇口まで40mのホースで接続。排水は設置場所の近くを通る排水溝へ。釜は大きな平鍋をKさんが準備してくれました。三連バーナーで湯を沸かします。理想的な釜場が出来ました。この大きな平鍋はカンコロを茹でるのに使うそうで小値賀の農家では一般的のようです。白い発泡スチロールの箱は茹で洗いしたそばを締める氷水です。

本堂の隅に設置させていただいた打ち場で手打ちの実演です。
お越し頂いた総代さん寺役さんにその行程を見ていただきました。人数分の蕎麦をその場で打つには時間的に無理がありますから大方の量は前日打った蕎麦を持参しました。
本堂前の境内に設置された釜場は島での蕎麦打ち仲間の平野さんに受け持って頂き、打ち場と釜場は同時進行です。
これで手打ちの実演が終わると直ぐに蕎麦が食べられます。お茶や配膳などはお寺の婦人部の方々やKさんご夫妻、同級生の皆さんのお手伝いがあり、単独出張そば打ちとしてはこれ以上の出来はない程でした(感謝)。






本堂の仏前で蕎麦を食べていただきました。厳かで爽快な空間での蕎麦は一味違った美味しさ、客人は二三枚のおかわりをされたようで嬉しい限りです。
今回使用したそば粉は幌加内産の新蕎麦、品種はキタワセとほろみのり、喉ごしの良さとほのかな香りは私好みでもあります。
いつも汁を横浜で仕込んで送るのですが今回は送りつける生活用品などの量も多く、それらの減量のため厚削りの鰹節と昆布、椎茸、それに返しを送り、小値賀で出汁を取りました。結果的には出汁も蕎麦を打つのも茹でるのも小値賀の水で賄うことが出来良かったようです。



..

素晴らしいセッティングをして下さったご住職ご家族の皆さん、配膳と片づけをしてくれた婦人部の皆さん、進行役を務めてくれたKさん、釜場を担当してくれたHさん、運搬トラックを用意してくれたYさん、平釜とバーナーを準備してくれたお二人のKさん、道具類の運搬をしてくれた同級生の皆さんありがとうござました。



追記
帰り道、思いがけぬ嬉しい発見がありました。白い可憐な蕎麦の花です。昨年までは島内で見かけることはありませんでした。品種は分かりませんが丈の低いしっかりした茎は風にも強そうです。収穫まで後一月強でしょうか。島内で少しずつでも蕎麦の作付けが増えると良いですね。


up date 2010.11.03


HOME