蕎麦打ち奮戦記


◆手荷物で運ぶ「のし板」パネルセット

出張そば打ちでは道具類や器、食材など数多くの荷物を運ぶことになりますがその中でも道具類の運搬は一工夫が求められます。
車で移動する場合は積み込めるサイズや重量、個数も差ほど気になりませんが各種の交通機関を利用する遠隔地となると様々な制約が出てきます。
昨年暮れの五島列島での場合は麺棒と包丁は手荷物とし、それ以外の大物は送ることにしました。
のし板は車で運搬する場合、「のし板」と台をセットしたものを利用しますがこの時は台の変わりに現地で調達するテーブルの上に「のし板」を載せます。トラック便で送れる「のし板」パネルセットを作り、木鉢や器などと一緒に送ることとしました。
サイズは航空便の手荷物では運べないサイズの一枚板パネルです。


シナ合板に裏桟を取り付けた「のし板パネル」桟の間に「切り板」を納め、それらを収納するラワンベニヤの箱に入れます。
「のし板」サイズ880×880×54mm 収納箱は910×910×70mm


そば打ちの仲間から中国の雲南省で蕎麦に関わる国際交流の場で「そばを打ちたい」が「のし板」の運搬をどうしたものかと相談がありました。
国内向けの場合、場所と日時を指定し、トラック便などで送ることも出来ますが海外となるとお国の事情も様々で思惑通りに事が運びません。
となると手荷物で運ぶことになります。
国際線の手荷物には個数や大きさ、重量に細かい規定があります。
機内に持ち込む場合は客室内の収納棚や座席の下に収納できるサイズとなり、それ以上の大きさだと空港で預けることになります。
国際線の発着便や利用するクラスによっても異なるようですが今回の利用ではそれぞれの手荷物の重量が23kg以下、3辺の和が最大158cm以内で2個までと規定されています。(但し、2個の和が273cmを超えないこと)「のし板」を一枚板にすると規定を超える事になり、規定内サイズの「のし板」とするか現地で組み立てる分割式とするか、どちらかを選択することになります。
制限ぎりぎりのサイズの「のし板」だと一度に打つ量も限界があり、何よりそば打ちのパフォーマンスとしては見栄えがしません。
分割式にすると繋ぎ合わせたときの状態が真っ平らになるかどうか。組立も簡単でトラブルが無いように、、、、、等々。
現地の受け入れ状況も不確定要素が多く、国内での作業とは異なり臨機応変とはいかないでしょう。
細かいところに注意を払い製作に取りかかってみました。


二枚のシナ合板( 9mm厚 )の四隅に桟木 (40×45mm)を取り付け、パネルの接合部にダボを着けます。ダボは接合作業を容易にしパネル間の不陸を無くす役目もあり、パネルの緊結は三本のボルトをスパナで締め付けます。






材料は歪みや反りの無いものを吟味し、購入そして製作しましたが二枚のパネルを繋ぎ合わせてみると木材の特性やパネルの厚さ、構造的な難点もあり真っ平らとはいきません。
繋ぎ目の不陸は解決できますが繋ぎ目にホンの僅かな溝もあります。
何度か微調整を重ね、試しに1.5kのそばを打ってみました。
繋ぎ目の溝の形も麺帯に影響を受けず思った以上の打ち具合です。
「のし板」のサイズは横880×縦825×厚54mm



パネルの桟木の間に「切り板」と3本の麺棒を納め、手提げトランク状の箱に収めます。
「切り板」は桐材でサイズは820×300×15mm








手提げのベルトを取り付け完成です。
サイズは横910×455×128mm、重量は10kgです。







セット内にボルトを締め付けるスパナ2本を入れ衝撃緩和のロープを二カ所に巻いて宅配便で送り届けました。

長旅の途中や現地での組立にトラブルがないか気掛かりでしたが帰国直後に電話をもらい「運搬中のトラブルもなく手提げセットの梱包を解くところから観客もテレビ局も興味津々で予想以上のパフォーマンスだった」と満足げの連絡が入りました。
「のし板」パネルセットも役目を終え、日本まで無事に帰ってきたようで制作者として胸を撫でおろした次第です。( 2009年3月)


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